【現役視能訓練士が語る】治療用メガネをかける意義

【現役視能訓練士が語る】治療用メガネをかける意義

突然ですが、「治療用メガネって、なんで大事なの?」と聞かれたら、あなたはすぐに答えられますか?

 

こちらの記事では、前回に引き続きこどもの「みる力」の重要性の発信活動を行われている

一般社団法人みるみるプロジェクトの現役視能訓練士:平良先生に、

治療用メガネをかける意義、現場の状況を踏まえた「お願い」を記載しています。

 

※前回のご寄稿記事、関連記事はこちら

早期発見と治療用めがね~小児眼科の現場から~

弱視に気づいたきっかけは?実体験アンケートより。

 

 

 

こんにちは、視能訓練士の平良美津子です。

小児眼科で多くのお子様の検査や訓練を担当させていただいています。

お子様の「みる力」やこどもめがねについて

小児眼科の立場から少しずつ皆様にお伝えをしていきたいと思います。

 

“かけ続ける“大切さ

 

弱視や斜視の治療は、ほぼ全ての場合で治療用めがねが必要です。

私たち大人にとってめがねは「生活に必要なもの」と言えますが、

治療中のこどもたちにとってめがねは「成長に必要なもの」です。

かけないと不便というより、かけ続けることで 心身の成長を促す大切なもの とご理解ください。

遊ぶ、食事をする、外を駆け回る、本を読む、テレビを見る…寝ているとき以外ほぼ全ての経験が

みる力を育て心身を成長させています。

治療用めがねを、常にかけ続ける重要性についてどうかご理解いただき、

患児を取り巻く人々皆さんで応援していただきたいと願っています。

 

弱視治療に多い年齢は

 

「何歳くらいの治療が多いの?」とよく聞かれます。

発見できた年齢もまちまちですので本当に一概に言えないところなのですが、現在国内では3歳児健診で

屈折検査機器を導入してもれなく発見しよう!という機運が高まっており、2022年度予算で検査機器購入

した自治体が急速に増えました。

3歳という年齢はこども自身の理解力も一定水準に達しており、その後の眼科での精密検査や治療訓練も

円滑に進みやすい頃です。

また、弱視治療で目標とする「両眼立体視」は本格的な学習が始まる小学校就学までに獲得してあげたい

という背景もあります。

したがって、ざっくりと表現しますと保育園児/幼稚園児が多い、と言ってよいと思います。

 

※園児世代の検査風景

 

”めがね禁止ルール“と理解と

 

さて困ったことに、通っている保育園/幼稚園から「園ではめがね装用禁止と言われた」というご相談を

保護者から受けることがあります。

これは昔から現在まで年に必ず何度かあります。

園によると、お遊びのときに壊したり無くしたりされては困るので…という事情があるようです。

 

園で過ごす時間を治療用めがね無しというのは、治療上たいへんな損失です。強い表現になってしまいますが

園ではめがねを外すという選択肢は眼科としてはあり得ないと申し上げて良いと思います。

そこで、保護者にはこれまでお話しした弱視斜視治療の重要性について、園にもお伝えいただいて必ず園内でも

かけ続けさせてくださいとお願いしています。

「なかなか園側が了承してくれなくて」という場合には、かかりつけ眼科の協力をあおぐのも良いでしょう。

園児の安全を確保しなければならない事情もわかりますが、最も大切な園児の成長を妨げてしまうことになりますので、ここはどうかお願いいたします。

 

 

“園で壊された”クレーム

 

保育園の園長先生とお話しする機会がありうかがったのですが、園児のめがねに深いご理解のある園長先生

でした。しかし保護者様から「高いメガネを園で壊された!」と強いクレームをいただいて困っているとの

お話もありました。

保護者のお気持ちもわかりますが、こどもはとても元気です。大人では考えられない活発な動きもしますし

常に適切なめがねの扱い方ができるとも限りません。園でなくとも壊すことは多々ありますので、どうか

園をあまり責めることなく、お互い協力体制でこどもの成長を応援する関係であって欲しいと願っています。

 

 

きれいなものを見せてあげたい

 

めがねを通じて、この世界の美しさをたくさん見せてあげましょう。

大好きなママやパパのお顔をたくさん見せてあげましょう。

春には花が咲き、夏には雲が湧きたち、秋には紅葉がゆらゆらと揺れ、冬には吐く息が白く見える…

世界は美しさに満ち溢れています。

心豊かに成長するために、大切なめがねです。

みんなで応援します。きっと心豊かで素敵に成長してくれますよ。

 

 

平良美津子 視能訓練士 PROFILE

 

北九州市出身/大分視能訓練士専門学校卒業。北九州市立若松病院などで勤務後、1年間トラックドライバー。医療法人大里眼科クリニック(北九州市門司区)勤務、師と仰ぐ辰巳貞子先生のもとで小児眼科を学ぶ。福岡市立こども病院眼科を経て、一般社団法人みるみるプロジェクトを有志らと共に設立。検査/訓練に立ち会った患児はのべ1万5千人以上。現在複数の眼科クリニックで勤務。後進の視能訓練士育成/異業種交流(弱視就学支援・eスポーツ研究等)/弱視早期発見活動に積極的に関わる。日本視能訓練士協会会員/日本弱視斜視学会会員/一般社団法人みるみるプロジェクト参与/福岡eスポーツリサーチコンソーシアム参画会員。みるみるプロジェクト https://mirumirunet.com/

 

■関連記事

弱視に気づいたきっかけは?実体験アンケートより。

早期発見と治療用めがね~小児眼科の現場から~